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Blog 建物の越境とは

相手の敷地に建物が越境している場合は、まず感情的に進めず、事実確認→協議→書面化の順で対応するのが大切です。
建物が他人の土地に入り込んでいると、原則としてその土地所有者の権利を侵害しうるため、民法上の所有権に基づく対応が問題になります。民法は所有者がその物を使用・収益・処分する権利を持つと定めており、これを前提に、妨害の排除や予防が問題になります。
まず確認すべきなのは、本当に越境しているのかです。
現場では「古いブロック塀を基準にしていた」「昔の口約束の境界だった」「測量図と現況がずれていた」ということもあります。したがって、最初にやるべきことは、登記簿、公図、地積測量図、確定測量図、境界標の有無などを確認し、必要に応じて土地家屋調査士へ相談して境界を明確にすることです。境界がはっきりしないまま話を進めると、後で紛争が大きくなりやすいです。
そのうえで、越境している内容を整理します。
建物本体なのか、庇・雨樋・基礎・配管・屋根・外壁の一部なのかで重みが変わります。数センチの庇越境と、建物躯体そのものの越境では、相手方の受け止め方も、是正の難易度も違います。また、最近生じた越境なのか、かなり昔から継続しているものなのかでも、現実的な落としどころは変わります。
対処法としては、大きく分けて4つあります。
1つ目は、越境部分を撤去・是正する方法です。
もっとも原則的で明確な解決です。特に新築時や、最近判明した越境で、相手方が強く是正を求めている場合には、この方法が中心になります。
2つ目は、現状を認めてもらい、将来の建替え時に解消する方法です。
実務ではかなり多いです。すぐに壊すと費用も負担も大きいため、「現状は使用を認めるが、再建築・増改築時には解消する」という内容の覚書を交わして整理します。売買や相続の際にも説明しやすくなります。
3つ目は、越境部分について土地を譲ってもらう、または使用権を設定する方法です。
越境面積が明確で、隣地所有者も柔軟であれば、分筆して売買する、または地役権・使用貸借などで法的に整理する方法もあります。ただし、測量や登記、金融機関対応などの手間は増えます。
4つ目は、売買時に開示したうえで現況引渡しにする方法です。
不動産取引では、越境の有無は重要な説明事項になりやすく、未整理のまま売るのは危険です。現況有姿で引き渡すとしても、買主に事前開示し、できれば越境に関する覚書や隣地との合意書を付けておく方が安全です。既存住宅流通では建物状況調査の透明性向上も重視されています。
また、相手の立場によって対応姿勢も変わります。
もし自分の建物が相手の土地に越境している側なら、まず謝意を示し、測量結果と是正案を持って協議に入るのが穏当です。逆に、相手の建物が自分の土地に越境している被害側なら、写真・測量資料をそろえたうえで、まずは任意の是正要請をし、それでも進まない場合に専門家を入れていく流れが一般的です。
注意点として、口約束だけで済ませないことが非常に重要です。
今の所有者同士で話がまとまっても、将来相続や売却で所有者が変わると、「そんな話は聞いていない」となりがちです。覚書や承諾書として残しておけば、後日の紛争予防に役立ちます。
なお、民法には建物を築造する際、境界線から50センチメートル以上の距離を保つという規定もありますが、これは主に新たに建築する場面で問題となる条文です。既に存在する越境建物については、単純にこの条文だけで処理するというより、所有権侵害の問題として、個別事情を踏まえて解決方法を検討することになります。
実務的には、次の順で進めると整理しやすいです。
「現地確認」→「資料確認」→「測量・境界確認」→「隣地と協議」→「覚書作成」→「必要なら是正工事または売買時開示」です。
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